ぼくは、ふとんの一部になりました。
「ぼくは、ふとんの一部になりました。」
今日はなにをしてたの?
真夏の日差しを避けて快適な家から一歩も出ず、ただただ流れる時間をやり過ごす彼に、仕事から帰宅する私が問いかけるおきまりの言葉。
そして彼は、これまたお決まりのように答える。
ぼくは、ふとんの一部になりました、と。
たったこの一文だけで。
彼がどんな気持ちで1日を乗り切ったのか。私に対面するのにどれほどのエネルギーを要したのか。(たとえそれが2年以上の月日を共に過ごした相手だとしても)
私は理解する。
彼の肉体が纏うグレーな重たい空気に。彼の奥に敷きっぱなしになっている敷布団に。取り込んだまま畳まれることなく、くしゃっと無作為に積まれた洗濯物たちに。
私は身体全体で感じとる。
彼がうつと診断されて、3ヶ月。
10年前にうつと診断された私と暮らす、彼の観察日記です。
気ままにぽつぽつ更新します。